発達障害の子供は推定60万人以上!特殊教育から特別支援教育への背景
現在、発達障害として診断されている子供の数はどのぐらいになるのかをご存知でしょうか?発達障害として該当する子供の数は、推定60万人以上とも言われています。
1クラスの人数約30名で考えると、1クラスに1〜2人が何かしらの発達障害をもつことになります。また、男女どちらかというと、男子の数が多いとも言われているようです。
発達障害の中で最も多いのは、「学習障害(LD)」4.5%でした。
学習障害とは、読む・書く・計算するなどの学習上の困難を意味する障害のことを示します。
もはや、発達障害は身近になりつつある障害だということを知っておきましょう。
※2012年文部科学省よる調査より引用
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特殊教育から特別支援教育への背景
発達障害の概念には、特殊教育から特別支援教育に制度が変わっていくことによって発展しました。
特殊教育とは、盲学校、ろう学校、養護学校など、特殊学級で行われていた特殊教育のことを意味します。昔の特殊教育は、目が不自由である子供、目が不自由である子供、発達に遅れのある子供や体が不自由な子供は養護学校というような分け方をしていました。
また、地域にもよりますが特別学級というクラスを設け、軽度の障がいがある児童のために特殊学級などもあったようです。
これらのうち養護学校が義務化されたのが1979年ということで、この頃よりすべての子供に対し、どんな障がいを持っていたとしても教育を受ける権利を有していました。
養護学校の義務化より現在までの期間は、それほど年数はなく、本当に最近から変化してきているということです。
1993年には、「通級による指導」というものが制度化され、対象となる子供に対し、心身の障がいに合わせた特別な指導を特別な場所で受けるものとするものでした。
言語障害、難聴や弱視、情緒的な障害、肢体不自由、病弱、虚弱の一部といった障がい児を対象に行われ始めました。
2006年には、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)、自閉症も対象になりました。
翌年2007年、特殊教育から特別支援教育へと変わり、障害別に別れていた盲・ろう・養護学校を「特別支援学級」と一本化されました。
また、地域の通常学校内に設立された特殊学級も「特別支援学級」へと移り変わったという流れです。
特別支援教室にいる子供達の将来
発達障害とは、発達時期に診断される中枢神経系に何らかの機能障害があることと言われています。簡単に説明すると、発達時期に発見される、言葉の遅れや、成長などの遅れや成長に伴う行動などの障害を言います。
年々発達障害の子供は増加し、10人に1人の割合で、何らかの発達障害が見られることがわかってきています。というのは、発達障害児自体が増えたということではないようで、「発達障害と診断される人が増えた」とされています。
従来、発達障害といえば「知的障害」が代表的でしたが、先天的な「聴覚障害」「脳性まひ」なども発達障害と呼ばれていたようです。
2016年5月、「発達障害者支援法」が改正されたことで、発達障害者支援法第2条において、発達障害は「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であって、その症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」と定義されたため、発達障害は、知的障害とは別の概念と捉えてしまう人も増えています。
(定義)
発達障害者支援法第二条
1. この法律において「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう。2 .この法律において「発達障害者」とは、発達障害がある者であって発達障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受けるものをいい、「発達障害児」とは、発達障害者のうち十八歳未満のものをいう。
3 .この法律において「社会的障壁」とは、発達障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。
4 .この法律において「発達支援」とは、発達障害者に対し、その心理機能の適正な発達を支援し、及び円滑な社会生活を促進するため行う個々の発達障害者の特性に対応した医療的、福祉的及び教育的援助をいう。
発達障害者支援法施行令
第一条 発達障害者支援法 (以下「法」という。)第二条第一項 の政令で定める障害は、脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもののうち、言語の障害、協調運動の障害その他厚生労働省令で定める障害とする。
発達障害者支援法施行規則
発達障害者支援法施行令第一条 の厚生労働省令で定める障害は、心理的発達の障害並びに行動及び情緒の障害(自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、言語の障害及び協調運動の障害を除く。)とする。
1980年代後半から発達障害への診断基準が普及したことにより、発達障害の認知度が広まりました。
昔の捉え方で「この子普通のことちょっと違うかも?」という程度で差別化することなく暮らしていましたが、その生活の中で人とは違う変化に気づき、発達障害の専門家などに見てもらうようになりました。
発達障害の種類
発達障害の種類は大きく4つに分けると以下の通りになります。
・広汎性発達障害(アスペルガー症候群/自閉症/高機能自閉症/自閉症スペクトラム症)
・ADHD(注意欠陥多動性障害/注意欠陥多動症)
・LD(学習障害)
・知的障害
発達障害の原因と治療の見込み
発達障害の原因は、生まれつきの脳機能の一部が通常とは違う働きをすることで引き起こされると言われています。
最近の研究で、明らかになってきていますが、脳機能の障害そのものを治すことはできないと言われています。
引き起こした原因は、「生まれつきの障害」と言われることから、親の育て方や生活環境が原因で発症したものではないということは覚えておきましょう。
治療して治せる障害ではありませんが、その子にあった適切な行動と日常生活に必要なスキル、円滑にコミュニケーションができるようにするためのスキルを身につけることで、社会の生きにくさを解消していくことができます。
発達障害だと思ったらすぐに相談する
発達障害には、できるだけ早く気がつくということが大切であり重要になります。早期発見で支援できれば、生活や学習などのストレスを軽減でき、学業の向上に繋げられるからです。
そうは言っても、自分の子供が発達障害だなんて思いたくないし、信じられないと思う親の気持ちもわかります。
ですが、些細な変化やこの子はちょっと違うと感じた際には、すぐに相談するようにしましょう。気づきが遅れて、適切な支援が受けられないという場合もあります。
その間に、子供はさまざまな生活や学習のつまづきを繰り返し、精神的なストレスと不安定になることで、自信を無くしたり引きこもりなど二次障害へと発展してしまいます。
保育園の先生や、地域療育センターや子供支援などを活用して、子供の変化の気づきになるアドバイスをもらうといいでしょう。
発達障害だと気づくためには?
子供が発達障害かもしれない・・・・、と気がつくときのポイントは、「困ったな」と思わせる行動です。
例えば、何度も声をかけても気がつかないときや、異常なぐらいのこだわりの強さで、トミカを1列に気がすむまで並べ続けるなど、ちょっと変わった「困った」が、発達障害だと気がつくポイントになります。
毎日見ている親ですら気がつかないこともありますので、保育園や幼稚園の先生にも相談できると良いでしょう。
発達障害児のプログラミング学習
障害別にこだわらない「インクリュージョン」
障害の有無や種別を超えて、様々な観点から子どもたちの成長と発達に合わせた教育を行うこと、「インクリュージョン」の考え方で、子供の成長にに寄り添って対応していくことだと考えます。
「この子はこの障害だからこのような支援が必要」と決めつけてしまうのではなく、この障害のようなニーズがあるので、そのほかの支援を応用しつつ、いろんな事業所や学校と連携しながら、全体でサポートしましょうということです。
例えば、ダウン症の子どもと、自閉症スペクトラムの子どもが同じような、行動パターンであることもありますし、同じ読み書きの障害であっても、漢字を書く事ができない、カタカナが書けないでは、対応は異なります。
このように、お子さま一人においては、障害名というより子供一人ひとりのニーズに応じた支援が必要であるとこうことになります。
私どもが目指しているインクリュージョンは、障害のある子、ない子にかかわらず、みんなが一緒に学ばせることを押し付けているのではなく、従来の発達障害児も通常教育も、インクルードしてそれぞれの子どもたちの教育に役立てていきたいと考えています。
できること、達成できる成功体験を増やしていく事が、大事と思います。
プログラミングを活用して自らが行動できるように支援していく
認知能力を見守りながら、発達と見立てを考えて取り組みます。
プログラミングを活用して、遊びながらフィードバック(ほめてあげる)ことを繰り返し、主体的な行動ができるよう支援していきます。
子供に闇雲に褒めるのではなく、発達の過程で褒めるポイントを明確してあげることです。
プログラミングで、イラストが動いた時に、「先生、動いたよ!」「動いたね、先生もとっても嬉しい」など、子供が主体となって、子供が自発的に行ったことに対して、ほめてあげたり、うなずくなどのフィードバックをする事が大切だと考えています。
お子さまの自立に向けて支援できるような、成功体験をたくさんして、子どもと一緒にプログラミング学習を楽しめたらと思います。