2020年以降、世界中を襲った新型コロナウイルスの影響は、日本の中小企業や個人事業主にとっても深刻なものでした。その苦境を支えるために、国や自治体はさまざまな補助金や助成金制度を設け、多くの人にとって救いの手となりました。
しかしその一方で、この**「善意の制度」を悪用する詐欺行為**が横行したのも事実です。この記事では、特に注意すべき「補助金詐欺」の実態と、その手口、そして私たちが巻き込まれないためにできることを、現場目線でお伝えします。
小規模事業者持続化補助金とは?
まず簡単に説明しておくと、小規模事業者持続化補助金は、中小企業や個人事業主が販路開拓や業務効率化などを目的に行う取り組みに対し、国が費用の一部を補助してくれる制度です。
例)ホームページ制作・広告費・ECサイト構築・チラシ作成 などが対象
通常、補助率は2/3程度で、最大50万円(コロナ特例では100万円まで)などが支給されるケースもありました。
詐欺の手口:あなたも知らぬ間に“加害者”に?
コロナ禍で急増したのが、「補助金・給付金の不正申請を“代行”します」と称して営業をかける業者の存在です。よくある手口は以下のようなものです。
【手口1】「無料で申請サポートします」と近づく
一見親切そうに見えても、裏では虚偽の内容を申請書に記入され、後で不正受給がバレて大問題に。
【手口2】「実績があります」「審査に通します」と過剰な営業トーク
あたかも必ず通るかのような表現をしながら、高額な成功報酬(20〜50%)を要求。しかも支給が確定する前に支払いを求めるケースも。
【手口3】架空の経費・領収書をねつ造
ホームページや広告の制作を装って、実体のない取引を記録。支給後にバレると、申請者本人も「詐欺罪」で立件される可能性あり。
実際に起きた事件
2021年〜2023年にかけて、以下のような事例が報道されました。
- 持続化給付金を偽の確定申告書で申請 → 詐欺罪で逮捕
- 補助金申請代行を行う業者が、複数人分を不正に書類偽造
- 実際にWebサイト制作をしていないにもかかわらず、見積・請求書のみを偽造し不正に受給
多くの場合、申請者自身も罪に問われることになります。「業者に任せたから知らなかった」は通用しません。
ホームページ制作業者として気をつけるべきこと
私たちのようなホームページ制作業者にも、補助金申請の相談はよくあります。だからこそ、一線を超えない倫理観と、正確な情報提供が非常に重要です。
- 虚偽の見積書・請求書を求められても絶対に応じない
- 実際に制作・納品をした上で正しい金額で処理する
- 補助金の対象内容や経費項目をしっかり確認・説明する
安心して補助金を活用するために
以下のことを心がけることで、安心して制度を利用できます。
経済産業省や商工会の公式サイトで情報収集
→ まずは正しい申請条件や書式を知ることが第一歩です。
「補助金コンサル」を名乗る業者には注意
→ 実績や口コミ、契約内容をしっかり確認しましょう。
見積書や納品物は必ず事実に即した内容に
→ 虚偽記載は絶対NG。業者と協力して、健全な申請を。
まとめ:制度を正しく使えば、ビジネスは前に進む
補助金や助成金は、本来とてもありがたい制度です。しかし、悪意ある業者や詐欺行為によって、制度全体の信用が損なわれてしまうのは悲しいことです。
私たちホームページ制作に関わる者としても、誠実な姿勢を持ち、必要な人に正しい形で支援を届けるお手伝いをしていく必要があります。
「申請に不安がある」「正しい流れを知りたい」という方は、まずはお近くの商工会議所や専門家に相談しましょう。
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